
外壁塗装といえば、大きなまとまった費用が必要になるリフォーム工事の一つです。とくに30坪前後の住宅でも、60万円以上の見積もりが出ることは珍しくありません。そこで活用したいのが、自治体や国が用意している「助成金」や「補助金」です。返済不要で費用を一部カバーできるため、より高性能な塗料や屋根塗装の追加といった選択肢の幅が広がるメリットがあります。
本記事では、助成金と補助金の仕組みや申請の流れ、具体的にどのような工事が対象となるのかを中心にまとめました。これから外壁塗装を検討している方は、ぜひ最後までチェックしてみてください。
目次
1. 外壁・屋根塗装の助成金・補助金とは?なぜ支給されるのか
外壁塗装や屋根塗装の工事費用を抑えるため、自治体や国が提供している資金援助制度が「助成金」や「補助金」です。いずれも交付が決定すれば返済不要ですが、下記のような条件がある場合がほとんどです。
①主な条件
・省エネ塗料を使用
遮熱塗料や断熱塗料など、指標となる断熱性能や反射率を備えた塗料の使用が求められるケースが多いです。
・指定期間内に工事を完了
予算や応募期間が定められており、締切が過ぎると申請自体ができなくなることがあります。
・工事着工前に申請
原則として、助成金や補助金は工事開始前に申請・審査を受けることが必須です。
②なぜこのような制度があるのか
外壁塗装工事に助成金や補助金が支給される主な理由は、省エネ性能の向上(環境保護)や地域経済の活性化にあります。
・省エネ性能の向上
断熱や遮熱効果のある塗料を使用すると、冷暖房効率がアップしてエネルギー消費量が抑えられます。こうした取り組みを推進するため、国や自治体は助成・補助制度を用意しています。
・地域経済の活性化
補助や助成を推進することでリフォーム需要が高まり、地域の施工業者への依頼増加による経済効果や雇用創出が見込まれます。
また、外壁塗装は10年に1度ほどの周期で実施が推奨され、費用も高額になりがちです。そこで、自治体や国が「特定の省エネ塗料を使ったリフォーム」を条件とする助成金・補助金を整備し、環境対策とリフォーム促進の両立を図っているとみられています。
外壁・屋根塗装における「助成金」と「補助金」は、ともに返済不要の支援制度ですが、行政側の運用ルールや申請・受領の仕組みにやや違いがあります。
・助成金
○先着順で受け取れるケースが多く、予算枠に到達すると締め切られることもあります。
○比較的受給ハードルが低い反面、応募開始日から早い者勝ちになるパターンが見受けられます。
・補助金
○国・自治体の政策目標を達成するため、審査が厳格な場合があります。
○予算総額に達すると募集が終了する点は助成金と似ていますが、提出書類や審査内容がより詳細になることも少なくありません。いずれにしても、申請時期や要件を把握しておかなければ、せっかくの制度を利用できなくなる恐れがあります。検討中の塗装工事が対象になるかどうか、自治体や国の最新情報を併せて確認しましょう。
2. 外壁・屋根塗装の助成金・補助金の対象となる工事
助成金や補助金の制度は、単に外壁・屋根の美観を保つためだけでなく、建物の機能性や居住性を高めるリフォーム工事にも広く適用される場合があります。ここでは、どのような工事が対象になるのかを大きく3つに分けて紹介します。
ヒートアイランド対策(遮熱塗料・断熱塗料の使用)
都市部などの気温上昇を抑えるため、遮熱塗料や断熱塗料を使う工事が助成や補助の対象になることが多いです。これらの塗料は熱を反射・遮断して室内温度を下げる効果が認められており、省エネや快適性の向上が期待できます。多くの自治体がヒートアイランド対策を推進しており、予算枠が設けられている場合もあるため、塗装を検討する際はチェックしてみるとよいでしょう。
エコリフォーム(省エネ・断熱改修、窓・天井などの改修)
外壁塗装だけでなく、窓の断熱サッシへの交換や天井裏の断熱材補強など、建物全体の省エネ性能を高めるリフォームも対象となるケースがあります。住宅全体の断熱性を向上させることで、冷暖房費の削減や室内環境の改善が見込まれます。工事の組み合わせによっては助成金額が増えることもあるため、同時施工の可能性も含めて検討すると効率的です。
一般的なリフォーム(耐震改修、空き家活用など)
耐震補強や空き家の再利用、古くなった中古物件のリフォームなどを行う際に、あわせて外壁塗装を実施する場合にも助成・補助の対象となることがあります。地域の安全対策や住宅の有効活用を目的とした制度が用意されている場合が多いため、住まい全体のリフォームを計画している方は自治体の要件を細かく確認してください。
以上のように、助成金や補助金は、多角的なリフォーム工事に適用される可能性があります。特に省エネや建物の長寿命化といった観点からみても大いにメリットがありますので、検討の際にはぜひ活用をご検討ください。
3. 助成金申請の基本条件
■ 申請タイミング
助成金・補助金は「工事に着手する前」に申請手続きを行うのが原則です。工事開始後や完了後に気付いても間に合わない場合がほとんどなので、早めに情報収集を始めましょう。
■ 必要書類・条件
・見積書(塗料名や施工面積などが明確に記載されているもの)
・住民票
・納税証明書(自治体によっては固定資産税の納税証明が必要)
・物件の図面や施工前後の写真
・使用する塗料のカタログ・性能証明書
・施工業者との契約書
※自治体によっては、さらに追加で書類を要求される場合があります。
■ 申請者の要件
・申請者本人に税金の滞納がないこと
・自治体が定める居住年数・物件の所在条件などに合致すること
■ 注意点
・締切や予算上限:枠が埋まると途中で終了してしまう制度もあるため、早めの行動が重要です。
・先着順・抽選:応募者数が多い場合、抽選制になる可能性があります。
4. 外壁・屋根塗装の助成金・補助金の申請の流れ
助成金・補助金を受け取るまでの基本的なステップは以下のとおりです。 ただし、制度によって異なる場合もありますので、詳細は必ず公式情報をご確認ください。
①助成金情報の調査
自治体や検索サイトで実施状況を確認
施工業者にも相談して、条件に合う制度がないか探す
②施工業者からの見積もり取得
エコ塗料や遮熱塗料など、助成条件を満たす塗料で見積もりを依頼
有資格者のいる業者に現地調査を依頼して、補修の必要性の把握や適切な施工プランになっているかの確認が重要
③申請書類の準備・提出
住民票、契約書、施工前の写真、加工前・加工後の図面などを用意
期限や不備に細心の注意を払いながら提出
④工事開始と完了報告
申請が受理され承認が降りたら工事を開始
工事完了後に報告書・写真等を提出
⑤助成・補助金の交付
書類審査・現地検査後、交付確定通知書が到着
実際の振り込みまで2~4週間程度の場合が一般的
5. 助成金・補助金を調べる方法
お住まいの地域で外壁・屋根塗装の助成金・補助金の制度があるかどうかを調べる方法をいくつか紹介します。
・国の機関やリフォーム関連団体提供のサイトで調べる
下記のような国の機関やリフォーム関連の事業団体のサイトなどで調べることが可能です。
▼地域名と制度内容で地方公共団体実施のリフォーム支援制度を探す
(出典元:一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会)
▼住宅省エネ2025キャンペーン情報
(出典元:国土交通省)
▼住宅リフォームの支援制度一覧
(出典元:国土交通省)
・自治体の公式サイトを見る、または直接問い合わせる
自治体の公式サイトで「外壁塗装」「助成金」「補助金」などのキーワードを入力し、公開されている最新情報をチェックしましょう。 また、直接電話で問い合わせたり、窓口に足を運んで直接聞いてみるのもいいでしょう。
・施工業者に相談する
外壁や屋根のリフォームを多く手掛けている業者は、地元の助成金・補助金情報を把握している場合があります。見積もりの依頼と合わせて相談してみると良いでしょう。
6. 助成金・補助金以外で外壁塗装を安くする方法
助成金や補助金を活用しても、全額カバーできるわけではありません。より費用を抑えたいという方は、以下も併せて検討しましょう。
・地元業者の利用
地域密着型の業者に直接依頼すると、ハウスメーカー等の仲介業者に依頼した場合に発生する中間マージンがかからなくなるため、見積もりが比較的低額になることがあります。
・外壁・屋根の同時施工
外壁と屋根を同時に施工することで、 足場設置費用などを一度で済ませられるため、同時に工事することで総費用を削減できることができます。
・塗料のグレード選定
目的や予算に応じて、耐久性と価格のバランスが良い塗料を選ぶと、コストパフォーマンスが高まります。なお、助成金対象として指定される塗料がある場合もあるため、必ず確認しておきましょう。
・火災保険の利用
風災や雪災の被害による外壁・屋根の損傷などは、火災保険の補償範囲になる場合があります。加入している保険によって適用条件が異なるため、事前に確認しておきましょう。
・ローン(住宅ローン減税)の利用
ローンで支払いを行うことで、初期費用を抑えることができます。また、一定の条件を満たせば住宅ローン減税・控除の対象となることもあります。
・相見積もり&値引き交渉
複数の業者から見積もりを取り、費用やサービス内容を比較検討しましょう。条件次第では値引き交渉が可能な場合もあります。
・キャンペーンの利用
塗装業者が独自のキャンペーンを開催している場合があります。キャッシュバックやギフト券プレゼントなどの特典が受けられる場合がありますので、定期的に情報を確認するとよいでしょう。
7. お住まいの都道府県の助成金に関する情報
外壁塗装の助成金・補助金制度は都道府県(市区町村)ごとに内容が異なります。各都道府県の最新情報は、以下よりご確認ください。最終的には必ず自治体の公式サイトや窓口などで詳細をご確認ください。
北海道地区 | ||
北海道 | ||
東北地区 | ||
青森県 | 岩手県 | 秋田県 |
宮城県 | 山形県 | 福島県 |
関東地区 | ||
茨城県 | 栃木県 | 群馬県 |
埼玉県 | 千葉県 | 東京都 |
神奈川県 | ||
中部地区 | ||
新潟県 | 富山県 | 石川県 |
福井県 | 山梨県 | 長野県 |
岐阜県 | 静岡県 | 愛知県 |
近畿地区 | ||
三重県 | 滋賀県 | 京都府 |
大阪府 | 兵庫県 | 奈良県 |
和歌山県 | ||
中国地区 | ||
鳥取県 | 島根県 | 岡山県 |
広島県 | 山口県 | |
四国地区 | ||
徳島県 | 香川県 | 愛媛県 |
高知県 | ||
九州・沖縄地区 | ||
福岡県 | 佐賀県 | 長崎県 |
熊本県 | 大分県 | 宮崎県 |
鹿児島県 | 沖縄県 |
8. まとめ
工事費がかさみがちな外壁塗装や屋根塗装でも、助成金や補助金を活用すると費用を抑えながらグレードの高い塗料を使うことも可能になります。ヒートアイランド対策やエコリフォームといった環境視点での取り組みが評価されることで、自治体の補助を受けられるチャンスは意外と多いものです。
ただし、助成金・補助金は「工事の着工前」に申請することが必須となります。交付対象を逃さないためにも、早い段階で情報を集め、見積もりや必要書類をそろえることが重要です。
「うちの場合は助成金が利用できるのかな?」と気になる方や相談事項があれば、ぜひ「外壁塗装のゼーンブ」まで一度お気軽にお問い合わせください。助成・補助金制度を上手に利用して、家計と環境にやさしい外壁塗装を実現していきましょう。