スタッコ外壁

ご自宅の外壁を見て、「表面がゴツゴツしているけれど、これは何という種類だろう?」「業者からスタッコだと言われたが、メンテナンス費用が高そうで不安」と感じてはいませんか?

スタッコは高級感がある反面、汚れやすく、塗料を多く吸い込むため、正しい知識がないとメンテナンスで失敗する可能性がある外壁材です。

この記事を見ることで、

・スタッコ外壁の正しい特徴とリシンとの見分け方
・スタッコ特有の劣化サインと危険度
長持ちさせるための下地補修と塗料選びの基準

が理解でき、スタッコの特性に合わせた最適なメンテナンス方法を選ぶことができます。

自宅の外壁がスタッコかもしれない方、これから塗装の見積もりを取ろうとしている方はぜひご覧ください。

 

目次

1.重厚感が魅力のスタッコ仕上げとは?リシンとの違いや特徴を解説

スタッコ外壁は、その厚みのある凹凸と重厚感で、和洋を問わず多くの住宅で使用されています。

まずは、スタッコの定義と、よく似た「リシン」との違い、そしてメリット・デメリットを正しく理解しましょう。

1-1.スタッコ仕上げとは

スタッコとは、セメント、石灰、砂などを混ぜ合わせた材料を、水で練って厚く塗り付けた外壁仕上げのことです。

元々は石材の代用品としてイタリアなどで発展した歴史があり、日本でもモルタル外壁の化粧仕上げとして普及しました。

施工方法は、コテで模様を付ける「コテ仕上げ」や、専用のガンで吹き付けた後にローラーで押さえる「吹き放し仕上げ」「ヘッドカット仕上げ」などがあり、5〜10mm程度の厚みがあるのが特徴です。

1-2.リシン仕上げとの違い

スタッコとよく混同されるのが「リシン仕上げ」です。見分ける最大のポイントは「厚み」と「骨材(砂や石)の大きさ」です。

リシンは細かな砂壁状で、表面がザラザラしており、塗膜の厚みは薄いのが特徴です。

一方、スタッコはリシンよりも骨材が大きく、塗膜に厚みがあり、より立体的でゴツゴツとした激しい凹凸があります。

指で触れたときに、リシンは「紙やすり」のような感触ですが、スタッコは「岩肌」のような硬さと凹凸を感じます。

1-3.スタッコ仕上げのメリット

スタッコの最大のメリットは、「重厚感」「耐久性」です。

一般的なサイディングや薄塗りのリシンに比べて塗膜に厚みがあるため、建物全体にどっしりとした高級感を与えます。

また、厚い塗膜がモルタル下地を保護するため、適切に施工されたスタッコは耐久性が高く経年変化による風合いも楽しめます。

1-4.スタッコ仕上げのデメリット

一方で、スタッコには注意すべきデメリットもあります。それは「汚れが溜まりやすい」ことと「塗り替え時の塗料消費量が多い」ことです。

表面の凹凸が深いため、窪みに雨水やホコリが溜まりやすく、汚れやカビ・藻が発生しやすい傾向があります。

また、塗り替えの際は、その凹凸が表面積を増やすため、平らな外壁に比べて通常の3倍近くの塗料を必要とする場合があります。

これが、スタッコの塗装見積もりが高くなりやすい理由です。

2.スタッコ外壁の劣化サインとひび割れ診断|どこまで塗装で対応できる?

スタッコ外壁は頑丈ですが、メンテナンスフリーではありません。

ここでは、スタッコ特有の劣化症状と、劣化に伴うリスク、そして塗装での対応可否について解説します。

2-1.スタッコ外壁劣化ポイント① チョーキング

スタッコ外壁のチョーキング

外壁を触ったときに手に白い粉が付く現象を「チョーキング(白亜化)」と呼びます。

これは、紫外線や雨風によって塗料の中の樹脂が分解され、顔料が粉状になって表面に浮き出てきている状態です。

防水機能が失われている初期サインですので、この状態を確認したら塗り替えを検討する時期です。

高圧洗浄で粉を洗い流し、新しい塗料で防水性を回復させる必要があります。

2-2.スタッコ外壁劣化ポイント② 汚染・雨だれ

スタッコの深い凹凸には、排気ガスやホコリなどの汚れが蓄積しやすく、窓枠の下などに黒ずんだ「雨だれ」が発生することがあります。

原因は、凹凸に水が留まりやすい形状と、塗膜の撥水性低下です。見た目の美観を損なうだけでなく、汚れが水分を保持することでカビの温床にもなります。

対応としては、低汚染性(汚れにくい性質)を持つ塗料での塗り替えが効果的です。

2-3.スタッコ外壁劣化ポイント③ 藻・苔

日当たりの悪い北側の外壁や、湿気の多い場所では、緑色の藻や苔が発生しやすくなります。スタッコの凹凸は胞子が定着しやすく、一度発生すると根を張って繁殖します。

これらは常に湿気を帯びているため、外壁材(モルタル)を常に濡らした状態にし、劣化を早める原因となります。

塗装前には、バイオ洗浄などで根こそぎ菌を除去してから塗装することが重要です。

2-4.スタッコ外壁劣化ポイント④ ヘアクラック・構造クラック

スタッコ外壁のクラック

スタッコで最も警戒すべきは「ひび割れ(クラック)」です。

幅0.3mm以下の細いひび割れを「ヘアクラック」と呼び、これは塗膜表面の経年劣化が主な原因です。フィラーなどの下塗り材で埋めることが可能です。

一方、幅0.3mm以上、深さが5mm以上に及ぶ「構造クラック」は、建物の揺れや歪みが原因で下地から割れている状態です。

ここから雨水が浸入し、雨漏りや構造体の腐食につながる恐れがあります。

この場合、単なる塗装だけでなく、シーリング充填などの専門的な補修が必要です。

3.スタッコ外壁長持ちの鍵は下地補修にあり!凹凸を守る処理とは?

スタッコはなぜ下地補修が重要?

スタッコの塗装において、最も重要なのは「上塗り」の色選びではなく、その前段階である「下地補修」と「下塗り」です。

凹凸が激しいスタッコだからこそ求められる、プロの処理方法を解説します。

3-1.スタッコの下地補修方法

ヘアクラックと構造クラックの適切な処置

ひび割れ(クラック)は割れの幅によって処置が異なります。幅0.3mm未満の「ヘアクラック」は、微弾性フィラー(※)などの下塗り材を刷り込んで埋めることで対応可能です。

一方、幅0.3mm以上の「構造クラック」は、建物の揺れなど構造的な要因で発生しているため、表面を埋めるだけでは不十分です。

ひび割れ部分をU字やV字にカットして溝を作り、プライマー(※)を塗布した上でシーリング材を充填する専門的な補修を行い、雨水の浸入を根本から防ぎます。

※微弾性フィラー:外壁塗装で使う、ゴムのように少し伸びる性質を持った「下塗り材」のことです。

※プライマー:塗装の最初に塗る「下塗り材」のことです。外壁と仕上げの塗料をくっつける「接着剤」のような役割を果たします。

欠損・浮き・爆裂部の補修と肌合わせ

外壁の一部が浮いていたり、内部の鉄筋が錆びて膨張し表面が剥がれ落ちる「爆裂」が起きている場合は、脆弱な部分を撤去します。

露出した鉄筋には防錆処理を行い、樹脂モルタルなどで埋め戻して成形します。

この際、単に埋めるだけでなく、周囲のスタッコ独自のゴツゴツとした模様に合わせて凹凸を復元する「肌合わせ」という高度な技術を行うことで、補修跡を目立たなくさせます。

細かい欠けやピンホールの徹底補修

スタッコ特有の深い凹凸には、施工時や経年劣化で生じた小さな「欠け」や、空気の気泡による小さな穴「ピンホール」が無数に存在することがあります。

これらは通常のローラー塗装だけでは塗料が奥まで届かず、塗り残しとなるリスクがあります。

そのため、塗装前に専用の補修材で埋めるか、刷毛を用いて塗料を奥まで押し込むような入念な下地処理が必要です。

この微細な隙間を塞ぐことが、防水性を長持ちさせる鍵となります。

3-2.洗浄・清掃も重要!汚れを徹底除去する

高圧洗浄の徹底|汚れ・カビ・藻・チョーキングを完全除去

スタッコ外壁は表面の凹凸が深く、窪みに長年の汚れやカビ、コケ、藻などが固着しやすい構造をしています。

また、劣化によって発生した白い粉(チョーキング)も表面に残っています。

これらの不純物が残った状態で塗装をしてしまうと、新しい塗料が外壁にしっかりと密着せず、施工後すぐに剥がれる原因となります。

そのため、塗装前には業務用の高圧洗浄機を使用し、凹凸の奥に入り込んだ汚れや菌、古い粉を根こそぎ洗い流す作業を徹底して行います。

脆弱塗膜・浮き塗膜の除去|塗料の密着を阻害する要素を排除

高圧洗浄と合わせて重要なのが、古くなって密着力を失った脆弱(ぜいじゃく)な塗膜の除去です。

水圧をかけた際にポロポロと剥がれるように浮いた塗膜は、すでに寿命を迎えています

これを残したまま上から塗装しても、下地ごと剥がれ落ちてしまうため意味がありません。

洗浄の水圧や、ケレン道具(皮スキやワイヤーブラシ等)を使って浮いている古い塗膜を完全に取り除き、健全な下地を出してから塗装工程に入ることが、長持ちさせるための鉄則です。

4.長持ちの分かれ道!外壁の状態に合わせた「下塗り材」の正しい選び方

スタッコの状態別下塗材の選び方

下地補修の次は、塗装の土台となる「下塗り材」の選定です。下塗材は外壁下地と仕上げの上塗材をしっかり密着させるための「接着剤」の役割を持っています。
スタッコ壁は、既存の外壁が「柔らかいか」や「塗料を吸い込むか」で使う材料が全く異なります。

4-1.下塗材の選定方法:既存仕上げが弾性塗膜の場合

現在のスタッコ外壁がゴムのように伸びる「弾性スタッコ」である場合、下塗り材も「弾性対応」のものを選ぶ必要があります。

硬い塗料を塗ってしまうと、下地の動きに追従できず、表面がひび割れてしまうからです。

4-2.下塗材の選定方法:既存がモルタル+硬質スタッコのみの場合

弾性のない硬質のスタッコ外壁の場合、一般的に「微弾性フィラー」と呼ばれる下塗り材を使用します。これは厚みを付けられる下塗り材で、細かなひび割れを埋めつつ、上塗り塗料との密着を高める役割を果たします。スタッコの凹凸を活かしつつ、表面を滑らかに整える効果があります。

素地が硬く脆い場合があるため、密着性を重視したシーラーやプライマーを選定する場合もあります。

4-3.下塗材の選定方法:吸い込みが激しい場合と少ない場合

劣化が進み、塗料の吸い込みが激しい場合は、まず「浸透性シーラー」を塗って下地を固め(吸い込みを止め)、その上から「フィラー」を塗るという工程が必要になることがあります。

逆に、吸い込みが少ない場合は、密着性を重視したシーラーやプライマーを選定します。 スタッコは特に塗料を吸い込みやすいため、この下塗り選定を間違えると、色ムラや早期剥離の原因となります。

※シーラー:下地の吸い込みを止めて表面を固める下塗り材。塗料が過剰に吸収されるのを防ぎ、上塗り塗料の密着性を高める役割を持つ。劣化した外壁の補強に使用される。

※フィラー:細かいひび割れや凹凸を埋めながら、厚みを持たせて表面を整える下塗り材。微弾性フィラーはゴムのように少し伸びる性質があり、ヒビ割れにの動きに合わせて伸びる。

※プライマー:上塗り塗料と下地の密着性を高めるための下塗り材。接着剤のような役割を果たし、塗料の定着を良くする。吸い込みが少ない外壁に適している。

5.スタッコの塗装(上塗り)は、デメリットを補えるものがベスト

スタッコの劣化サインをチェック

下地を整えたら、いよいよ仕上げの「上塗り」です。スタッコの弱点である「汚れやすさ」と「ひび割れやすさ」をカバーできる高機能な塗料を選ぶことが、長持ちの秘訣です。

5-1.高耐候性が高いもの

スタッコ外壁は表面積が広いため、紫外線の影響を強く受けます。

色あせやチョーキングを長期間抑えるために、シリコン樹脂やフッ素樹脂、無機成分配合など、耐候性(紫外線への強さ)が高い塗料を選びましょう。

塗装の回数を減らすことは、結果的にトータルのメンテナンスコスト削減につながります。

5-2.低汚染性があるもの

前述の通り、スタッコは凹凸に汚れが溜まりやすいのが最大の欠点です。これを防ぐために、「低汚染性(超低汚染性)」を持つ塗料を推奨します。

親水性(水となじむ性質)が高い塗料であれば、雨が降った際に汚れの下に水が入り込み、汚れを洗い流してくれる「セルフクリーニング効果」が期待できます。

5-3.弾性・ひび割れ追従性があること

モルタル下地のスタッコは、ひび割れが起きやすい外壁です。 そのため、塗膜自体に伸縮性がある「弾性塗料」や「微弾性塗料」が適しています。

建物が動いて下地にひびが入っても、ゴムのように伸びる塗膜が表面までひび割れを出させず、雨水の浸入を防ぎます(防水性能)。

また、肉持ちがいいため、スタッコの凹凸面でも均一で美しい仕上がりになります。

5-4.おすすめ塗料:超低汚染リファイン弾性1000MS-IR

超低汚染リファイン弾性1000MS-IRの特徴

参考:超低汚染リファイン弾性1000MS-IR製品ページ

スタッコ外壁の最大の悩みである「汚れやすさ」と「ひび割れリスク」を同時に解決する、アステックペイントの自信作です。

最大の特徴は、業界の常識を覆す「コア・シェル構造」内部の柔軟な「弾性層」が建物の動きに追従してひび割れを防ぎつつ、表面の「強靭層」がスタッコの深い凹凸への汚れ付着を徹底的にブロックします。

さらに、紫外線に強い「MS技術」により期待耐用年数は17~20年を実現。遮熱性も兼ね備えています。

専用下塗材「弾性エポシーラー」と組み合わせることで防水性能を最大化できるため、メンテナンスが難しいスタッコ外壁にこそ、強くおすすめしたい塗料です。

5-5.おすすめ塗料:EC-5000PCM-IR

EC-5000PCM-IRの特徴

参考:EC-5000PCM-IR製品ページ

「ひび割れからの雨漏り」を最も懸念される方には、最強の防水塗料「EC-5000PCM-IR」がおすすめです。

飛行機の窓にも使われる高耐久の「ピュアアクリル樹脂」を採用し、約600%という驚異的な伸縮率を実現。

スタッコ外壁にひびが入っても、塗膜がゴムのように伸びて追従し、雨水の浸入を鉄壁ガードします。

期待耐用年数は15年以上。紫外線に強い有機ガラスを配合し、遮熱効果で室内の温度上昇も抑える、まさに「家を包む防水材」としてのハイスペック塗料です。

6.まとめ

スタッコ外壁のメンテナンスについて解説しました。重厚感が魅力のスタッコですが、汚れやすく塗料を吸い込む性質があり、ひび割れは雨漏りの原因となるため早期の対処が必要です。

塗装を成功させるには、外壁の「吸い込み」や「弾性」の状態を見極めた下塗り材の選定が不可欠です。仕上げには弱点を補う「低汚染性」と「弾性」を持つ塗料を選びましょう。

スタッコの改修には高度な診断力と専門知識が求められます。「自宅の外壁は大丈夫?」「適正価格を知りたい」という方は、自己判断せずにぜひ一度プロの診断を受けてみてください。

 

外壁塗装のプロが教える!チョーキング現象とは?放置するリスクは?

 

外壁塗装は必要ない!?見た目がわるい以外の雨漏りリスクなどを解説

 

外壁の汚れが目立たない色を選ぶために知っておきたいポイント