
「台風が近づいていると聞いて、自分の家は大丈夫だろうかと不安になった」「台風が去ったあと、どこを確認すればいいのか分からない」そんな風に感じたことはありませんか。
台風による住まいへの被害は、事前の備えと通過後の早めの点検で、その後の広がりを大きく左右します。この記事では、台風前、台風後の2つのフェーズに分けて、それぞれの場面でやるべきことを整理してご紹介します。
自分で確認できる範囲と、専門業者に任せるべき箇所の判断基準も併せて解説しますので、台風シーズンの備えとしてぜひ参考にしてください。
1.台風前にやること|備えで被害を最小限に

「台風が来る前に何を準備すればいいか分からない」という方のために、屋外・排水・窓・記録・保険の5つの観点からチェックポイントをまとめました。
1-1.屋外の飛散物を片付ける・固定する
台風の強風では、普段は動かないものでも簡単に飛散したり倒れたりします。以下を確認しておきましょう。
・鉢植え、物干し竿、自転車、看板などを屋内に入れるか、しっかり固定する
・ゴミ箱、バケツなど軽いものはすべて屋内に移動する
・庭木は支柱で固定し、必要であれば事前に枝を剪定しておく
・プロパンガスのタンクなど、倒れると危険なものが固定されているか確認する
1-2.排水まわりを確認する
雨樋や排水溝に落ち葉や泥がたまっていないか、事前に除去しておきましょう。詰まった状態で台風を迎えると、雨水があふれて外壁や基礎への浸水につながることがあるといわれています。
1-3.窓・シャッターの確認
台風前の窓対策として有効なのは、シャッターや雨戸をきちんと閉めることです。シャッター・雨戸がある場合は必ず閉め、開閉時に普段と違う音や引っかかりがないかもあわせて確認しておきましょう。
シャッター・雨戸がない窓は、カーテンやブラインドを閉めておくと、万一飛来物がガラスに当たった際の破片飛散をやわらげる効果が期待できます。飛散防止フィルムや養生テープを窓に貼っておくのも一つの方法です。
1-4.外壁・屋根の気になる箇所を記録しておく
台風前に、地上から見える範囲で気になる箇所をスマートフォンで撮影しておきましょう。
・ひび割れ、外壁の剥がれがある箇所
・シーリング(コーキング)のひび割れ、剥がれがある箇所
・屋根材の浮き・ずれが地上から確認できる箇所
台風後に同じ箇所を見比べることで、今回の台風による新たな被害なのか、以前からあったものなのかを判断しやすくなります。
1-5.保険証券・契約内容を確認しておく
台風が来る前に、火災保険の契約内容もあわせて確認しておくと安心です。契約書やマイページなどで風災補償が含まれているかを事前にチェックしておくと、万一被害が出た際にも慌てず手続きを進めやすくなります。
1-6.台風になってからは点検は屋内のみに絞って絶対に屋外には出ない
不安な気持ちから、つい外の様子を見に行きたくなったり、応急処置をしたくなったりするかもしれませんが、台風が続いている間は次の行動は絶対に避けてください。
・屋根への上り込みは、晴天時・専門業者以外は厳禁です
・台風が続いている間の応急処置(ブルーシートかけなど)は、強風下では大変危険です
室内への水漏れに気づいても、台風が続いている間に屋根や外壁の応急処置を行うのは危険です。バケツやタオルで室内側の被害を最小限に抑えることを優先し、台風が通過してから専門業者へ連絡しましょう。
2.台風後にやること|自分でできる点検チェックリスト

台風が完全に通過し、風雨が落ち着いてから点検を行いましょう。高所の確認は必ず地上からの目視にとどめ、屋根への上り込みは専門業者に依頼してください。
2-1.屋根(地上・窓から目視)
屋根は建物の中でも風の影響を受けやすく、被害が出ていないか特に気になる箇所です。地上や窓から見える範囲で、次のような変化がないか確認しましょう。
・瓦のズレ、落下、欠けがないか
・棟板金(屋根の頂点にある金属板)の浮き・剥がれがないか
・屋根材の一部が見当たらない、周囲に落下していないか
・テレビの映りが悪くなっていないか(アンテナのズレを確認するサインになります)
2-2.外壁
外壁はお家の顔ともいえる大事な箇所です。以下の点を一通りチェックしてみましょう。
・新たなひび割れ、欠けがないか
・外壁の塗装が剥がれていないか
・シーリング(コーキング)の亀裂・脱落がないか
・飛来物が当たった跡がないか
横なぐりの雨の後は、普段濡れにくい方角の壁にも雨が当たっていることがあるため、一面だけでなく建物の全方向を見て回ることをおすすめします。
2-3.雨樋
雨樋は詰まりや破損を放置すると、外壁や基礎への浸水につながるおそれがあるため、台風後は忘れずに確認しておきたい箇所です。
・落ち葉、ゴミが詰まっていないか
・変形、割れ、金具の外れがないか
・雨が降ったときに正常に排水されているか
2-4. 軒天・破風板
軒天や破風板は目立たない場所ですが、雨漏りのサインが最初に現れやすい箇所ともいわれています。次の点を確認しておきましょう。
・剥がれ、穴、変色がないか
・軒天に水シミが出ていないか(雨漏りのサインといわれています)
2-5.室内(見落としがちなポイントも含めて)
室内は、リビングなど普段よく使う部屋だけでなく、閉め切りがちな部屋や収納の中まで確認しておくと安心です。
・天井、壁、窓まわりに新たなシミや水滴がないか
・床下換気口まわりに泥や水の侵入がないか
・各部屋の給気口(外壁に埋め込まれた配管の室内側の口)の周辺が濡れていないか
・ベランダ・バルコニーがある場合は、下から見上げて排水口以外の場所から水滴が落ちていないか確認する
台風のときだけ発生する一時的な水濡れは、その後の普通の雨を2〜3回経験して自然に乾いていれば、経過観察で様子を見てよいケースもあるといわれています。一方で、乾かずに変色が広がる場合は、継続的な雨水の侵入が疑われるため、早めの相談が安心です。
2-6.庭・外構
庭やカーポートまわりも、強風で気づかないうちに傷んでいることがあります。次の点も合わせて確認しておきましょう。
・ブロック塀の傾き・ひびがないか
・カーポート・フェンスの破損がないか
台風後点検チェックリスト
・屋根まわりに瓦・板金の落下物がないか
・棟板金の浮き・剥がれがないか
・外壁に新たなひび割れ・欠けがないか
・シーリングの亀裂・脱落がないか
・雨樋が詰まっていないか・変形がないか
・軒天に剥がれ・水シミがないか
・室内の天井・壁・給気口周辺に新たなシミがないか
・ブロック塀・フェンスに異常がないか
3. 異常を発見したら|自分でできることとプロに任せること

点検で異常が見つかった場合は、できるだけ早めにメンテナンスすることが大切です。ただし、ご自身で対応できる範囲と、専門業者でなければ対応できない範囲があります。まずはどちらに当てはまるかを見極めましょう。
3-1. 自分で対応できる範囲
異常が見つかったからといって、すべてを専門業者に任せなければならないわけではありません。次のような対応は、ご自身でも行いやすい範囲です。
・雨樋の落ち葉除去(地上から手が届く範囲のみ)
・窓まわりの防水テープによる一時的な応急処置
・室内の水漏れ箇所へのバケツ・タオルによる応急対応
目安として、ひび割れの幅が髪の毛ほど細く、雨水の侵入も見られない場合は、しばらく経過観察をしても大きな心配はいらないといわれています。
3-2. 必ずプロに依頼すべき状況
一方で、次のような状況は自己判断で様子を見ず、早めに専門業者へ相談することをおすすめします。
・屋根の瓦ズレ、棟板金の浮きが確認できる場合
・外壁のひび割れ、シーリングの亀裂から雨水が浸入している場合
・室内の天井、壁に新たなシミが出た場合
・ブロック塀が傾いている場合(倒壊の危険があります)
ひび割れの幅が広がっていたり、内部に水が浸入している様子がある場合は、様子を見ずに早めに専門業者へ相談しましょう。小さな異常でも放置すると、雨水が構造材に浸透し、木部の腐食やシロアリ被害など、より大きな修繕につながるケースがあるといわれています。少しでも気になる箇所があれば、早めの相談が結果的に安心です。
屋根や高い位置の外壁を修理する場合は、足場を組んでの作業が必要になることもあります。足場の要否も含めて、現地調査の際に業者へ確認しておくと安心です。
高所の修繕をご自身で行うのは絶対に避けてください。台風後は業者も繁忙期になりやすいため、早めの連絡が安心です。
点検後に異常を発見した際はこちらの記事もぜひご覧ください
3-3. 火災保険の確認も忘れずに
台風による建物被害は、火災保険の風災補償の対象になる場合があります。異常を見つけたら、修繕前に写真を撮影して記録しておきましょう。保険会社への連絡は、修繕を行う前に済ませておくのが原則です。なお、経年劣化による損害は補償対象外となる場合があるため、保険会社に確認することをおすすめします。
保険金の支払いまでの大まかな流れとしては、①保険会社への連絡・申請書類の提出、②鑑定人による現地調査、③保険金の支払い、という順に進むのが一般的です。申請には期限が設けられていることが多いため、被害を確認したらできるだけ早めに連絡することをおすすめします。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
3-4. 業者選びで注意したいこと
台風の直後は、「無料点検」を口実にした悪質な訪問業者が増える傾向があるといわれています。国民生活センターも、屋根の無料点検の後に高額な契約を迫られたという相談が急増することを注意喚起しています。
・突然の訪問業者による即日契約は避ける
・不安な場合は、消費者ホットライン「188」に相談する
一方で、安心して依頼できる業者には、次のような特徴があるといわれています。
・地域での施工実績や口コミが確認できる
・現地調査や見積もり内容を丁寧に説明してくれる
・契約を急かさず、比較検討の時間を持たせてくれる
・資格や許可番号などを明示している
複数の業者から見積もりを取り、これらのポイントを参考にしながら比較することで、信頼できる業者を見つけやすくなります。
まとめ
台風への対策は、台風前/台風中/台風後でそれぞれ異なります。
・台風前:飛散物の固定・排水確認・シャッターや雨戸の動作確認・外壁の事前記録・保険内容の確認
・台風後:地上からの目視点検を行い、異常があれば早めに専門業者へ相談する
自分でできる点検は、あくまで地上からの目視が基本です。屋根への上り込みや高所作業は、必ず専門業者に依頼してください。異常を発見した場合は、修繕前に写真を撮影し、火災保険の適用可否を保険会社に確認したうえで、まず専門業者に現地調査・見積もりを依頼することをおすすめします。
複数社を比較することで、適正価格で安心できる施工業者を見つけやすくなります。台風後は悪質な訪問業者にも注意しながら、落ち着いて対応していきましょう。
