
「雨漏りは、自分でもコーキング材を使って止められるらしい」
この記事を見ている方のなかには、そんな情報をキャッチして、その真偽を探っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。気になるのは、“本当に自分でもコーキング材で雨漏りを止めることができるのか”かと思います。
結論から言うと、コーキング材で雨漏りを止めることはご自身でも可能です。ただし、それはあくまで応急処置です。
もっとも難しいのは、雨水の浸入箇所を特定すること。どこが原因で雨漏りが 発生しているかがわからず、補修のしようもないケースが少なくありません。 確実に止めたいときは、業者に相談してきちんとした補修をするのが賢明です。
それでも「ひとまず、自身で雨漏り補修にチャレンジしてみたい」という方のために、 雨漏りをコーキング材で止める方法を3ステップでわかりやすく解説します。
※「コーキング材」は、「シーリング材」と言うこともあります。どちらも同じ材料を指しています。
目次
1.コーキング材を使って雨漏りを止める方法
雨漏りを止めるために、自身でコーキング材を使って補修する方法を具体的にご紹介します。
ステップ①|雨水の浸入箇所を特定する
雨漏りは下記のような劣化箇所から浸入している可能性が高いです。下記のような劣化症状がないか、チェックしていきましょう。
| 劣化症状 | |
|---|---|
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※「欠けている箇所がある」という場合、自身で対応できるレベルではありません。プロに補修を依頼しましょう。
(注意!)自身でコーキング補修できるのは外壁だけ!屋根はプロに任せるべし

「雨水の浸入箇所が屋根かもしれない」という場合は、無理せず、業者に依頼しましょう。自身で屋根の上にあがるのは、絶対にやめてください。うっかり足を踏み外して、大事故につながってしまう可能性もあります。
厚生労働省の労働災害統計によると、令和4年の建設業における死傷災害は14,539件、うち死亡災害は281件にものぼります。特に事故の型別で最も多いのが『墜落・転落』で、建設業の死亡災害の41.3%(116人)を占めています。
屋根の上にあがるだけでも危険な中、コーキング材を使って補修するとなると、さらに危ない状況になるはずです。屋根からの雨漏りは、迷わず業者に依頼しましょう。
ステップ②|補修に必要な材料や道具等を準備する
下記の材料や道具等は、ホームセンターやインターネット等で購入可能です。
[コーキング材を使っての雨漏り補修に必要な道具一覧]
| 種類 | 特徴 | 価格相場 |
|---|---|---|
| コーキング材 | 1本でおよそ3m分の目地に打つことができます。 | 500~2,000円/1本 |
| コーキングガン | 容器に入ったコーキング材を押し出すための器具です。 | 200~10,000円 |
| マスキングテープ | 汚れを付けたくない箇所には施工前にマスキングテープを貼ることで汚れやコーキング材が付着するのを防ぐことができます。 1巻き18mのものが多いです。 | 300~500円/個 |
| ヘラ | コーキングを打ったあとに、仕上げを滑らかにするために使用します。 | 500円/1本 |
[参考|コーキング材3選]
| コーキング材 |
|---|
POSシール(セメダイン) |
ボンド シリコンシーラント(コニシ) |
ウレタンシール S700NB(セメダイン) |
ステップ③|劣化箇所を補修する
いよいよ、コーキング補修に入ります。ステップ①の「コーキングの割れ」「コーキングの剥がれ」と、「ひび割れ」の2つにわけてコーキング補修方法をご紹介します。
●「コーキングの割れ」「コーキングの剥がれ」をコーキング材で補修する方法
コーキングの割れ・剥がれといった劣化症状のある場合は、コーキングの“増し打ち”という方法で補修を行ないます。
コーキングの増し打ちとは、既存のコーキング材の上から、新しいコーキング材を充填する工法です。
| コーキング材の増し打ち | |
|---|---|
| 【準備物】 | ■コーキング材 ■コーキング(コーキング)材専用プライマー ■コーキングガン ■マスキングテープ ■ヘラ ■刷毛 |
![]() | ▼壁にコーキング材がつかないよう、目地まわりにマスキングテープを貼り、既存のコーキング材の上から、刷毛でコーキング専用プライマーを塗布します。 |
![]() | ▼コーキング材を充填します。 |
![]() | ▼充填したコーキング材をヘラで押さえ、成形。最後にマスキングテープを剥がして完成です。 |
増し打ちは、あくまで応急処置としての手段です。すでに劣化の進行したコーキング材の上から増し打ちをしても、またすぐに劣化症状が発生してしまうことも少なくないため、プロであれば、既存のコーキングを撤去して、新しいコーキング材を充填する「打ち替え」という工法を選択するでしょう。しかしながら、打ち替えは非常に難易度が高いため、素人が「打ち替え」をするのは、まず無理です。そこで、あくまでも応急処置として増し打ちを実施し、できるだけ早めに、プロに打ち替えによる補修を依頼しましょう。
●「ひび割れ」をコーキング材で補修する方法
| ひび割れ補修 | |
|---|---|
| 【準備物】 | ■プライマー ■コーキング材 |
![]() | ▼コーキング材の密着性を高めるため、溝にプライマーを塗布。その後、溝にコーキング材を充填します。 |
参考出典:プロタイムズ大分中央店 施工事例URL:http://www.protimes-oitachuo.jp/seko/6236.html
▼ひび割れは、コーキング材以外をつかって補修する方法もあります。詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
2.注意!自身でのコーキング補修はあくまで応急処置と考える
①コーキング材を使っても、素人が完全に雨漏りを止めることはできない
導入部でもお伝えしましたが、コーキング材を使っての自身での雨漏り補修は、あくまでも応急処置であることは頭に入れておく必要があります。なぜ、これほどまでに「応急処置」であることを声高にお伝えするかというと、素人が雨漏りを完全に止めることは、まずできないからです。
そもそも、雨漏りには「こうすれば、絶対に雨漏りが止まる!」という確立された方法はありません。
雨漏りを止めるには、知識や経験をもとに、“雨水が浸入している箇所”や“雨漏りの原因”を特定し、雨漏りを止める方法を探っていく必要があります。
雨漏りを止めるのはプロでも難しく、いったんは止まったように見えても、しばらくして雨漏りが再発するケースも少なくありません。そのため、知識も経験もない素人が雨漏りを完全に止めるのは、まず無理と思っていただいて、間違いありません。
②コーキング補修以外の雨漏り応急処置
コーキング材を使っての補修以外にも、雨漏りを止める方法があります。どちらも、コーキング補修よりも、かなり簡易的な方法であるため効果は長くもちませんが、急場をしのぐのには非常に有効です。
■防水シートで覆う
なんとも古典的なやり方に思われるかもしれませんが、効果は抜群です。雨水がどこから浸入しているかわからなくても、壁一面を覆ってしまえばよいので、一時的ではありますが、雨水が建物内部に浸入するのを防ぐことができます。
防水シートが風で煽られると、雨水が入り込んでしまうので、壁にそってきちんと留めるのがポイントです。
※外壁から雨漏りしている場合にのみ有効です。
[準備物]防水シート
■防水テープで雨の浸入口を防ぐ
“どこから雨水が浸入しているか”がわかっている場合には、防水テープを使っての応急処置がオススメ。
やり方は、簡単。雨水が浸入している箇所に防水テープを貼るだけです。濡れている所に貼ってもすぐに剥がれてしまいますので、雨の日を避けて貼りましょう。
[準備物]防水テープ
▼雨漏りの応急処置について詳しくは、下記の記事も参考にしてください。
③応急処置をした後そのままにせず、早い段階で業者に“雨漏り調査”を依頼すべし
応急処置によって雨漏りが止まっても、そのまま放置するのは絶対にやめましょう。できるだけ早い段階で業者に依頼してください。
「応急処置によって雨漏りは止まっているのだから、しばらくは大丈夫ではないか」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、先述の通り、素人が雨漏りを完全に止めるのは、まず無理です。浸入する雨水の量が減るなどして止まっているように見えるだけで、どこかで雨漏りが発生しているケースもあります。
押さえておきたいのは、少しでも雨漏りが発生していると、住まいはどんどん蝕まれていく、ということです。住まいの内部に入り込んだ雨水は、次第に住まいの躯体を腐食させ、住まいの寿命を縮めていきます。さらに、場合によっては、喘息やアトピー、アレルギー性気管支炎アスペルギルス症(ABPA)などを引き起こす原因となるカビや菌を発生させてしまうこともあるのです。
雨漏りは「完全に止める」のが鉄則です。そして、そのためには業者に頼るのが一番確かで、間違いありません。
業者に補修を依頼する場合も、業者に補修を依頼するかどうか迷っている場合も、まずは業者の雨漏り調査を受けるのがオススメ。
雨漏り調査によって、雨漏りが発生しているか否か、またコーキング材等で補修をした場合は“きちんと雨漏りが止まっているか”がわかるため、その後の雨漏り補修計画が立てやすくなるはずです。調査だけなら無料で対応してくれる業者も。まずは問い合わせてみましょう。
[主な雨漏り調査の方法]
| 調査方法 | 内容 | 費用相場 |
|---|---|---|
| 目視調査 | 読んで字のごとく、”目で視(見)て”調査する方法です。一目で確認できる箇所だけでなく、屋根の上や天井裏などの普段見えない箇所まで丁寧にチェックしていきます。 | 無料~3万円程度 |
| 散水調査 | 雨水が浸入していると思われる箇所に水をかけて、雨漏りを再現し、雨漏り箇所を特定する方法です。 | 3万円~18万円程度 |
| 赤外線サーモグラフィ―調査 | 高感度赤外線カメラで住まいを撮影し、温度で雨漏り箇所を調査する方法です。水の浸入箇所や滞留箇所は温度が下がるため、雨漏り箇所を突き止めることができます。 | 15万円~35万円程度 |
| 発光液調査 | 雨水の浸入の疑いがある箇所に検査液を流し込みます。雨漏り箇所が複数ある場合には、色の違う検査液を使用することで、雨水の浸入箇所と、漏水箇所がひと目でわかります。 | 10万円~25万円程度 |
※費用相場はあくまでも目安です。詳細な費用は、各業者にお問い合わせください。
どの調査方法を選択するのが良いかは、雨漏りの状況等によっても異なります。雨漏り調査にかける予算等を踏まえて、業者と相談しましょう。
当社では、全国対応で信頼の雨漏り専門業者を紹介しています。ご紹介〜診断は無料ですので、お気軽にご相談ください。
3.コーキングで止まる雨漏りと、止まらない雨漏り
コーキングで止められるのは、目地やサッシまわりの「すき間」から入る雨漏りだけです。屋根材の割れや金属部の穴あきは、塞ぐとかえって悪化することがあります。
作業に入る前に、雨漏りしている場所が下表のどれに当たるかを確認してください。
| 雨漏りの発生箇所 | コーキング補修 | 理由 |
| 窯業系サイディングの目地 (ひび割れ・破断・肉痩せ) | ◯ 有効 | シーリング材はもともとこの目地を埋めるための材料。打ち替え・増し打ちで浸入経路を塞げます |
| サッシまわりのすき間 | ◯ 有効(応急処置) | 外壁と開口部の取り合いはすき間ができやすく、充填で一時的に止められます |
| モルタル外壁の細いひび割れ | △ 一時的に止まる | 表面は埋められますが、奥まで達している場合や防水紙が傷んでいる場合は再発します |
| 屋根材(瓦・スレート)の割れ・ずれ | ✕ 逆効果になることがある | 屋根は水を流して逃がす構造。塞ぐと水の逃げ場がなくなり、内部へ回り込むことがあります |
| 金属部(板金・雨樋)の錆による穴あき | ✕ 適さない | 錆の進行は止まらないため、塞いでも周囲から再発します。板金の補修・交換が必要です |
| ベランダ・屋上の防水層の劣化 | ✕ 適さない | 面全体で防水する構造のため、点の充填では止まりません。防水工事が必要です |
上表は目安です。築年数や劣化の進み方で変わるため、迷う場合は自己判断で進めず、専門業者の調査を受けてください。
目地のシーリングが下の4症状のいずれかに当てはまるなら、コーキング補修の対象になります。

図:シーリング材の劣化症状|株式会社アステックペイント
特に見落としやすいのが「肉痩せ」です。ひび割れていないため一見問題なく見えますが、目地の厚みが不足して水が入りやすくなっています。
雨漏りの場所そのものが特定できていない場合は、先に原因の切り分けが必要です。詳しくは以下「雨漏りの原因と発生しやすい箇所」をご覧ください。
4.DIYコーキングでよくある失敗と、現場から見た注意点
DIYの失敗は材料選びより「下地処理」で起きます。プライマーを省く・濡れたまま打つ・薄く打つ——この3つで、数ヶ月後に同じ場所から再発します。
以下は、シーリング材メーカーが施工上の注意として定めている項目です。
プライマー(下塗り材)を省いてしまう

プライマーは下地とシーリング材を密着させる下塗り材です。省くと直後は塞がって見えても、目地が動いた際に接着面から剥がれて再発します。製品ごとに指定品があり、代用はできません。
下地が濡れたまま打ってしまう
雨上がり直後は表面が乾いていても目地の奥に水分が残ります。濡れた下地では密着不良を起こすため、降雨・降雪時は避け、十分に乾燥してから作業してください。
薄く打って仕上げてしまう
薄く均すと短期間で白く変色する(白化)ことがあります。薄い部分は目地の動きに耐えられず早期に破断するため、ヘラで厚みを削り取らないよう注意してください。
シリコーン系を外壁の目地に打ってしまう
シリコーン系は上から塗装ができません。DIYで打った箇所だけ塗料がハジき、塗り替え時に撤去してやり直す手間と費用が発生します。
【監修者・石橋からひと言】
現場で多いのは、劣化した目地の上に新しいコーキングを重ねただけの状態です。応急処置としては有効ですが、内部の防水紙が傷んでいる場合は雨漏りは止まりません。応急処置のうえで、必ず原因の調査を受けてください。
5.[参考]引き渡しから10年以内の新築住宅の場合、無償補修が可能
押さえておくべきは、新築の雨漏りは、住宅瑕疵担保責任保険*の対象となるということです。
そのため、新築で雨漏りが発生した場合は、安易にコーキング材で補修するのではなく、まずは家を建てた施工業者に相談しましょう。
住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)において、新築の住宅瑕疵担保責任保険*の期間は10年と定められています。そのため、新築住宅で、かつ引き渡しから10年以内であれば、家を建てた施工業者に雨漏り補修にかかる費用を請求することができます。
*住宅瑕疵担保責任保険とは
新築住宅に瑕疵(欠点・欠陥)が見つかった場合に、その補修費用をまかなう保険のこと。
<保険の仕組み>

※画像出典:国土交通省
<保険の対象となる部分>

画像出典:国土交通省
※住宅瑕疵担保責任保険について詳しくは、国土交通省のホームページをご覧ください。
台風や強風など自然災害が原因の雨漏りは、火災保険の対象になる場合があります。詳しくは以下「雨漏りで火災保険が使えるケース」をご覧ください。
まとめ
雨漏りを止める手立てとして、コーキング補修が有効であることは間違いありません。ただし、素人がコーキング補修で雨漏りを止めるのは難しいということは押さえておきましょう。もしも自身でコーキング補修をして雨漏りがいったん止まったとしても、早めに業者に相談し、きちんと補修してもらいましょう。

コーキングの割れ

欠けている箇所がある※



