外壁塗装はまだするなは本当か

外壁塗装を検討していると、周囲の人から「まだ外壁塗装はするな」と言われる場合があります。

「本当にそうなの?」
「早まって施工するとどんなデメリットがあるの?」

と気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、「外壁塗装はまだするな」と言われる理由と、適切な判断基準や DIY延命テクニック等について紹介します。

1. なぜ「まだするな」と言われるのか?

はてな(男性)

塗装工事をした知人や業者の方から「まだ外壁塗装をしないほうがいい」と言われる理由は、主に5つあります。以下で詳しく解説します。

外壁の劣化がごく軽度

外壁表面にチョーキング(壁に触れたときに白い粉がつく現象)や、軽度な変色・ひび割れが見られる程度であれば、すぐに塗り替えが必要ない場合もあります。
塗膜は太陽光の紫外線や熱、雨など影響を受け、経年とともに徐々に劣化していきますが、そうした症状が出ていても、建物を保護する防水機能まで失われているとは限りません。部分的な補修(簡易メンテナンス)で十分に延命できるケースもあるため、「劣化=塗替えが必須」ではないことを、まずは認識しておきましょう。

塗料の寿命・性能面によるタイミングの違い

一般的なシリコン塗料は耐用年数が約7~10年、フッ素や無機系では10年以上といわれます。適期より早く塗り替えると本来の寿命を使い切れず、損をしてしまいます。
そのため、塗り替えの時期は一律に考えるのではなく、現在使用されている塗料や建材の種類ごとに判断し、施工計画を立てるのが賢い選択です

塗装コストが割高になる可能性

検討期間が短い場合相見積もりをしていない場合、塗装コストが割高になる可能性があります。

塗り替え工事を検討する際には、十分な期間を設けてじっくりと考えることが大切です。塗装工事は費用がかかるため、複数の会社から見積もりを取り、内容や価格を比較することをおすすめします。相見積もりを行うことで、それぞれの工事内容や金額の違いが明確になり、納得したうえで施工店様を選ぶことができます。(基本的に見積もりは無料でもらうことができます)

そのため、余裕を持って計画的に進めることが、費用を抑えるポイントになります。

悪徳業者による嘘の説明

「今、塗らないと家がダメになる」「値上げ前だから急いで契約しろ」

など、不安をあおって高額プランを売りつける業者も存在します。裏付けのない劣化診断や過剰な工事範囲の提案には注意してください。
必ず複数社の見積もりを比較し、根拠ある説明をしてくれる信頼できる業者を選びましょう

補助金・火災保険が使える可能性

地域によっては塗装工事を行う際、補助金や助成金を受け取れる場合があります。
また、自然災害によって建物が破損した際には、火災保険が適用される場合があります。
こうした制度を活用するためにも、お住まいの自治体やご加入の保険会社に一度お問い合わせいただき、適用条件を確認されることをおすすめします。

2. 外壁の塗り替え検討サインを見極めるポイントと方法

塗装を先延ばししても大丈夫かを判断するには、次のようなチェックが役立ちます。

目視チェック(チョーキング・ひび割れ・藻・カビ)

外壁のセルフチェック(イラスト)

ご自身でできる外壁チェックポイントを紹介します。塗り替え検討サインなのか、塗替え必須サインがでているのか確認してみてください。

■塗り替え検討サイン
・チョーキングが軽度(指でこすってわずかに粉がつく程度)
・ヘアクラック(0.3mm未満で髪の毛より細いひび割れ)
・表面の汚れ(水洗いで落ちる程度)
・軽度な変色

■塗替え必須サイン
・全面にチョーキング
・塗膜の剥がれや浮きが多数
・塗膜を指で押すとボロボロと崩れる
・幅1mm以上のひび割れが多数

もし、「雨の後に湿ったままの箇所がある」場合は、特に早めの点検・対応が必要な可能性が高いため注意しましょう。

プロの無料点検サービスを利用する

建物診断の一環で、外壁の様子をカメラで撮影

自己判断が難しい場合は、専門業者による無料点検がおすすめです。ただし、点検後すぐに契約を迫る業者には注意しましょう。
信頼できる業者の主な特徴は以下の通りです。

・写真や図解を使って劣化状況をわかりやすく説明してくれる
・「今すぐではなく〇年後の塗り替えがおすすめ」といった客観的なアドバイスができる
・見積書に施工内容・使用材料・保証内容が詳細に記載されている

また、できれば複数社に依頼し、説明内容を比較できるようにしましょう。

3. 外壁塗装を先送りする際のDIY&延命テクニック

できることなら外壁の良い状態を保ち、将来的な大規模な修繕を避けたいですよね。
この章では、本格塗装までの間、簡単なメンテナンスで外壁の劣化を食い止める方法をご紹介します。

シーリング材でのひび割れ補修を行う

1つ目の方法として、シーリング材でのひび割れ補修といったDIYメンテナンスが有効です。

【主な作業の流れ】

手順作業内容
1ひび割れ箇所を清掃し、汚れ等が付いていない状態にする
2シーリング材専用プライマー(下塗材)を塗布する
3乾燥後ひび割れ箇所にシーリング材を充填し、ヘラで均して平らに仕上げるこれだけでも、ひび割れからの水浸入を防ぎ、塗装前の延命策として有効です。

ただし、DIY初心者の方は以下の点に注意しましょう。
・シリコーン系シーリング材※の使用はNG
・高所作業が必要な場合は無理せず専門業者に依頼する
・大きなひび割れ(1mm以上)や広範囲の補修は専門家の判断を仰ぐ
・使用する材料や道具の取扱説明書をよく読み、適切な保護具(手袋・マスクなど)を着用する

自信がない場合は、部分補修だけでも専門業者に依頼することで、安全かつ確実な施工が可能です。

※シリコーン系シーリング材とは、台所や浴室など水で濡れてしまうような箇所で使用されます。高い撥水機能を持っているため、塗替え工事を実施する際、塗料の付着を阻害します。そのため、ひび割れ補修には、「変成シリコーン系シーリング材」等を用いることが一般的です。

4. “まだ待つ”デメリットと注意点

職人が注意を促している

「外壁塗装はまだしなくていいか」と判断する際には、 考慮すべきデメリットや注意点があります。
それは、塗装を先送りにすることで建物の耐久性への影響や、将来的な修繕費用の増加リスクについて理解する必要があるということです。
「塗装を先送りにする」という選択をする場合の留意すべきポイントは以下の通りです。

放置し続けることによる建物劣化の加速

軽度の劣化段階では塗装を先送りにする選択もありますが、その状態を長期間放置し続けると、ひび割れが拡大し雨水が浸入することで、下地の木材や金属が腐食する恐れがあります。これにより、後々単なる塗装工事では済まない構造的な問題に発展する可能性があります。そのため、定期的な点検を行い、劣化の進行状況をプロの目でチェックすることが大切です。

劣化進行による将来的な修繕費用の増大

適切なタイミングを逃して劣化が進行すると、ひび割れの深刻化や広範囲の塗膜剥がれが生じ、大掛かりな下地補修工事が必要になります。これにより足場設置期間の延長や追加工程が発生し、結果的に総工事費用が大幅に増加してしまいます。軽度の劣化段階でも、その状態を観察しながら適切なタイミングで対応することが、長期的なコスト削減につながります。

5. まとめ

「外壁塗装はまだするな」と言われたときの理由や適切な判断方法について解説してきました。
以下のチェックリストに✅が入るか確認してみてください。
✅がある場合は、外壁の劣化が進行している可能性が高いため、専門業者による詳しい診断を受け、適切なタイミングでの塗装工事を検討しましょう。

≪使用されている塗料を確認≫
塗料の寿命・耐用年数を超えている

≪外壁から出ている塗替え必須サイン≫
全面チョーキングがある
塗膜の剥がれや浮きが多数ある
塗膜を指で押すとボロボロと崩れる
幅1mm以上のひび割れが多数ある

判断に迷った時は、まずは外壁塗装の専門業者(複数社推奨)に建物の診断を依頼しましょう。
この記事を参考に、最適な外壁メンテナンス計画を実行し、快適で安全な住まいを維持してください。