カバー工法・張り替え・塗り替えどれがいいか悩む

外壁リフォームは、住宅の美観を保つだけでなく、耐久性や資産価値の向上にも大きく寄与します。
外壁リフォームの方法にはどんなものがあるのかを調べてみると、「カバー工法」、「張り替え」、そして「塗り替え(外壁塗装)」といった主に3つのリフォーム方法があります。

しかし、どれを選択したらいいのかお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そこで、この記事では、あなたが自身の住宅に最適なリフォーム方法を選択できるよう、カバー工法、張り替え、塗り替え(外壁塗装)それぞれの特徴やメリット・デメリット、費用や耐用年数の違い、注意すべき点などを詳しく解説します。
具体的な事例や専門家の意見を交えた情報を提供しますので、ぜひ参考にしてください。

1,外壁リフォームが必要な理由と主な工法

3つの工法について解説する前に、そもそも外壁リフォームがなぜ必要なのか、そしてどのような工法があるのか、まず基本を学んでいきましょう。

外壁リフォームの必要な理由

外壁リフォームは、住宅の長寿命化快適な住環境の維持に欠かせない重要な施策です。
外壁の劣化は見た目の美観を損なうだけでなく、雨漏り断熱性の低下など、住宅の構造や居住性に深刻な影響を及ぼす可能性があります。特に、外壁材が劣化すると建物内部への水分侵入が増え、カビの発生木部の腐食を引き起こし、健康被害や建物の耐久性低下を招く恐れがあります。

また、定期的なメンテナンスを怠ると、修繕費用が大幅に増加するリスクがあります早期に外壁の問題を発見しリフォームを行うことで、小規模な修繕で済む場合が多く、長期的なコスト削減につながります。
具体的には、外壁のひび割れ塗装の剥がれなど初期の劣化サインを見逃さず対処することで、構造的なダメージを防ぎ、大規模な修繕や全面的な外壁張り替えを回避できることが多いです。

さらに、外壁リフォームは住宅の資産価値を維持・向上させる効果もあります
美しく維持された外壁は、住宅の第一印象を良くし、将来的な売却時にも高い評価を受けやすくなります。そのため、定期的な外壁の点検と適切なリフォーム計画は、住まいの価値を守るためにも非常に重要です。

これらの理由から、外壁リフォームの必要性を理解し、適切なタイミングでの実施が推奨されます。

それでは、次の章でカバー工法、張り替え、塗り替え(外壁塗装)の各工法について詳しく解説していきましょう。

2,カバー工法

カバー工法イメージ
カバー工法は、既存の外壁材の上に新しいサイディングを重ね張りする方法であり、外壁の耐久性を向上させつつ、メンテナンス費用の削減が可能です。

カバー工法のメリットとデメリット

カバー工法には次のようなメリットとデメリットがあります。

メリットデメリット
耐久性が向上する。下地の補修が困難なため、外壁の傷みが著しい場合は不向き。 
全面張り替えと比べ費用と工期が少なく済む外壁材を重ねることで重くなるため、耐震性が低下する可能性がある。 
既存の外壁に新しい外壁材を重ねることで断熱性と遮音性が向上する。外壁材同士の間に結露が発生しやすくなる場合がある。 

金属系サイディングの重ね張り

カバー工法の中でも、効果的なリフォーム手法としてよく採用されるのが金属系サイディングの重ね張りです。
この工法は、既存の外壁の上に金属系サイディングを重ねて施工するものであり、施工プロセスが比較的シンプルでありながら、外壁全体の防水性や耐久性を大幅に向上させます。特に、ガルバリウム鋼板を使用することで、耐候性に優れた外観を長期間保持することが可能です。

作業工程としては、まず、既存の外壁表面を適切に清掃し、必要に応じて補修を行います。その後、金属系サイディングを縦方向もしくは横方向に重ねて取り付けます。この際、縦張りよりも横に施工する方が、耐久性や見た目の美しさに優れる傾向があると言われています。

素材の選択やデザインの自由度も、金属系サイディングの大きな魅力です。ガルバリウム鋼板は、その高い耐久性と多彩なカラーバリエーションにより、住宅の外観を一新することができます。
さらに、最新のインクジェットプリンター技術を用いた石材調タイル調のデザインも可能で、金属製とは思えない美しい仕上がりを実現します。

3,張り替え

張り替え工法イメージ

外壁の張り替え工法は、既存の外壁を完全に取り除き、新しい外壁材に交換する方法であり、カバー工法とは異なるアプローチを取ります。外観の大幅なデザイン変更や耐久性の向上を目的として行われることが一般的です。

張り替えのメリットとデメリット

張り替え工法には次のようなメリットとデメリットがあります。

メリットデメリット
デザインの自由度が高く、家の印象を一新させることができる コストが高い。 
耐用年数を延長させ、メンテナンス頻度を下げることで、トータルのメンテナンスコストを抑えられる。 施工期間が長い。
使用する外壁材によっては、耐震性を向上させられる。 建物の重量バランスが崩れ、構造に負担が掛かる可能性があるため、専門家のアドバイスなど事前の検討が重要になる。 

最適な外壁材を選ぶためには、住宅の状況や予算、希望するデザインなどを総合的に考慮することが重要です。専門家に相談し、実際の施工事例を参考にすることで、より適切な選択ができるでしょう。

<カバー工法と張り替えにおける注意点:重量(耐震性への影響)> 

外壁リフォームを考える上で1つ頭に入れていただきたいのが”重量”です。
なぜかといいますと、採用するリフォーム方法や使用する材料によって、建物の耐震性に与える影響が大きく異なるためです。特にカバー工法と張り替え工法は、外壁材の選択によって外壁の重量、ひいては建物全体の重量が大きく変わるため、耐震性への影響を十分に考慮する必要があります。

4,塗り替え(外壁塗装)

白色の塗料を外壁に塗っている

塗り替え(外壁塗装)は、3つの中で最も手軽にできる外壁リフォーム方法とされています。現在は様々な機能やカラーの塗料が開発され、選択の幅が広がっています。

塗り替えのメリットとデメリット

メリットデメリット
コストパフォーマンスに優れる。耐用年数が短い傾向があるため、改修頻度が高くなる場合がある
工期が短い。既存の外壁材の上に塗装するため、大幅なデザイン変更は難しい。
材料のグレードや色の選択肢が多い。建物の劣化が著しい場合は、割高になる場合や、そもそも塗り替えができない場合も。

5,カバー工法、張り替え、外壁塗装の費用・耐用年数比較

外壁リフォームを検討する上で、費用と耐用年数は気になるところですよね?
そこで、カバー工法、張り替え工法、塗り替えのそれぞれを選択した場合の初期費用や耐用年数、長期的な期間で考えた場合のコストを紹介します。ご自身の現状の経済状況等も考慮して検討ください。

≪2階建て、30坪の戸建て住宅の場合≫

初期費用(費用相場) 耐用年数 30年換算で考えた場合のコスト
カバー工法150~220万円 20~30年 150~220万円/1回
張り替え工法200万円前後 30年 200万円前後/1回
塗り替え80~150万円 10~20年 160~300万円/2回 

カバー工法は既存の外壁を活かしつつ新たな外壁材を重ねるため、施工期間が比較的短く、生活への影響も少ないというメリットがあります。また、張り替え工法は外壁を全面的に新しくするため、デザインの自由度が高く、外観を大幅にリニューアルすることが可能です。

最適なリフォーム方法を選択する際は、初期費用と耐用年数のバランスを考慮することが重要です
長期的な視点で見た場合、カバー工法や張り替え工法は高額な初期投資が必要ですが、結果としてメンテナンス頻度を減らすことができます。一方塗り替えは、初期費用を抑えることができますが、カバー工法や張り替え工法と比べてメンテナンスの回数は多くなります。

6,塗装のプロが教える外壁リフォームの工法の選び方

ここまで外壁のカバー工法、張り替え、塗り替えについて解説してきましたが、どの工法が最も良いのか判断に悩むところがありますよね。
そこで、外壁リフォームのプロがどの工法がどのような場合におすすめなのか(適用条件)紹介します。

● カバー工法
✅コストを抑えたい方
✅外壁の劣化が比較的軽度な方
✅断熱性・遮音性を向上させたい方
✅下地の劣化が軽微な住宅にお住まいの方
✅ある程度の通気層を確保できる住宅にお住まいの方

● 張り替え工法
✅デザインにこだわりたい方
✅耐用年数を重視する方
✅将来的なメンテナンスコストを抑えたい方
✅大幅なイメージチェンジをしたい方
✅劣化が著しい住宅にお住まいの方
✅新築同様の仕上がりを求める方

● 塗り替え
✅コストを抑えたい方
✅色を変えたい方
✅既存の外壁材を活かしたい方
✅劣化が軽微で定期的なメンテナンスを続けられる方

自分で判断することが難しい場合は業者に相談を

業者相談
ここまで3つの外壁リフォームの方法や特徴について解説してきましたが、どれを選択すればいいのか自身で判断を下すのが難しいという方もいらっしゃるかと思います。さらにいえば、自分で選んだ方法が適切でない可能性もあります。そのため、プロである専門の業者(外壁塗装業者など)に相談して決定することが最も適切です。

建物の劣化状況(建物診断の結果)を踏まえて、プロの視点から適切なアドバイスを受けることで、最適なリフォーム方法を選択し、安心して工事を進めることができます。
建物診断や見積もりは業者の多くが無料で対応してくれるため、気軽に相談するといいでしょう。

7,まとめ

外壁リフォームは、家の見た目や安心して長く住み続けられるようにするためにも非常に大切です。
どの方法にも一長一短がありますので、ご自宅の状態や予算に合わせ、信頼できる専門家と相談しながら、納得のいくリフォームを実現しましょう。